モーツァルト版メサイアについての記述に誤りがありました

少し前に、モーツァルト版メサイア・第3部のデュエット
「O Tod, wo ist dein Pfeil」(ベーレンライター版No.36、
スヴィーテン男爵が通奏低音の数字を書き込んでいるもの)について、書きました。
そこで、このデュエットを、「モーツァルトがオリジナルに作曲したもの」
と記述してしまいましたが、それは誤りでした。
ヘンデルのデュエット「O death」に、モーツァルトが
ヴィオラパートを付け加え、編曲したものでした。
お詫びして訂正いたします。

唯一、モーツァルトが作曲した部分(ヘンデルの編曲ではなく)は、
このデュエットに続く合唱のあとのレシタティーヴォ、
「Wenn Gott ist fuer uns」でした。
この部分、ヘンデルはソプラノのアリアとして作曲しており、
(「If God be for us」ベーレンライター版No.46)
モーツァルトが、スヴィーテン男爵からの意見に従い、
アリアからレシタティーヴォに書き換えた、と伝えられるものです。

デュエットに話を戻しますと、このデュエットは、
もともと書かれていた別ヴァージョンのデュエットの譜面が
モーツァルトの自筆総譜完成後に
その前に置かれていた曲と一緒に、そっくりそのまま切り取られて削除され、
その後に、新たに閉じ込まれたものです。

そのことは、紙の透かし模様がそこだけ違うことや、
その曲だけ通奏低音の数字がもれなく書かれていること、
その部分だけスヴィーテン男爵によるページナンバーの書き込みがあること、といった
自筆総譜とスタイルが明らかに違うことによって、証明されます。

それでもなぜ、スヴィーテン男爵は、このデュエットだけに、
びっちり数字を書き込んだのか、という疑問は残ります。
(モーツァルトの手による数字の訂正の跡もある)
この楽章には、「Violomcelli Solli(チェロ独奏で)」の表記があるので、
スヴィーテン男爵が数字を書き込んだ理由が
通奏低音の鍵盤楽器の便宜を図るため、
ということは、考えにくいのではないか、と、私は思っています。
(余談ですがベーレンライター版スコアには、
初めの小節に「Violoncelli Solli」の表記があるにも関わらず、
「Continuo」の下に「(Cembalo,Violoncelli)」の表記がある・・・これも謎・・・)

やはり私は、モーツァルトが編曲し終わった総譜に
スヴィーテン男爵がドイツ語の歌詞を書き込む時に、譜面を見たら、
プロ顔負けの作曲家魂に火が付いて、
分析したくなっちゃったのではないかしら・・・
って思っていますが、本当のところは???
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by cembalonko | 2011-12-18 00:04 | 日々のいろいろ | Comments(0)