悲しみの区切りを
本当なら今頃、ワシントンから来た
AnneとMike夫妻の東京案内をしているはずだった。
去年の10月、日本へのツアーに参加するから
その時に会おう、とMikeからメールをもらい、
そのメールをすぐにプリントアウトし、
4月を心待ちにしていた。
そろそろ予定を立てよう、と思っていた3月9日、
Mikeからメールが。
「Anneの持病が、今新しい治療を必要としていて、
それが長くかかりそうなので、
日本行きはキャンセルしなければならなくなった。
せっかくAtsukoと演奏する曲も選んだのに、残念。」
(Mikeはアマチュアのバロックオーボエ吹き)
そして3月14日、ホワイトデーに届いた、突然のAnneの訃報・・・
信じられなかった。
Mikeのメールには、Anneの意識がなくなる前に口述筆記した
家族や友人たちの言葉が添えられていた。
そこでAnneは、みんなにお別れの言葉を言い、
日本とは別のdestinationへ、自分の意志で旅立つ決心を語っていた。
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私がAnneと初めて会ったのは、ワシントンにいる時に参加していた
英会話と国際文化交流のグループで、
Anneはアメリカ人側のボランティアとして参加していた。
いつも明るくて、でもただ一緒にいて楽しいだけではなくて、
誰の心にも勇気を与えてくれる力強さが、彼女の言葉には籠っていた。
その、周りの人の心を照らし続ける彼女が、ずっと
血液の癌の一種である
ワルデンストレーム・マクログロブリン血症と戦っていたなんて、
私はつい1か月前のMikeからのメールまで知らなかったのだ。
ずっと離れている友人は、彼女だけではなかったし、
ワシントンにいるときに特にたくさん交流があったわけではなかったが、
私は思いの外、凹んだ。
何度も泣いた。
2つの本番の間が3日間空いていて、
ちょうどその真ん中の日がAnneの葬儀だったから、
飛んで行ってとんぼ返りできるか、
という非現実的な考えまで、頭をよぎったりしていた。
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そして今日。
AnneとMikeと一緒に見られたはずだった
本当に美しい、ハナミズキとツツジの並木を見て、
Mikeに長い手紙を書いた。
ほとんど午後中かかってしまった。
そうでもしなければ、
悲しい思いを、このままずっと引きずってしまいそうだったから。
そして、Anneが望んだとおり、
ワルデンストレーム・マクログロブリン血症の研究機関に
彼女の思い出として、夫と連名で寄付をした。
それからMikeには、バロックオーボエのCDを一枚買った。
明日、手紙と一緒に送ろうと思う。
by cembalonko | 2014-04-18 00:14 | 日々のいろいろ | Comments(0)