パスネット

地下鉄のプリペイドカード、パスネットを買った。
うふふ、これでかなり区民っぽくなった・・・
と、ほくそ笑む私、根はまだまだ田舎者である。

このパスネット、嬉しいのは、
図柄が、ライン川の向こうにそびえる
ケルンの大聖堂なのだ。

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ケルンには、19から20歳の時に、半年住んだ。
冷え冷えとした、この世のものとは思えないほど
巨大かつ繊細な大聖堂の内部。
その中の、人の熱気とお香の匂いが、
若気の至りゆえの、苦い思い出と共に
鼻の奥によみがえってくる。

*****

ケルンで半年下宿させていただいた、
ヴンダーリヒさんとの出会いは、偶然だった。
ケルンで家探しをしているときのこと。
国際見本市のため、どこのホテルも取れず、
見本市の時だけ、泊り客に部屋を貸すという、
ある郊外のお宅を、観光協会に紹介してもらった。
その家の隣が、ヴンダーリヒ家だった。

6人の息子・娘たちが独立した後、
部屋を貸したがっているから・・・と、
泊まった家の奥さんが、私を紹介してくれたのだ。

ヴンダーリヒ家の7番目の娘となった私は、
夕食には冷たいもの(パンにハム・チーズ)しか食べない、
食事の前には、必ずお父さんが聖書を読むのを聞く、
・・・ということから始まって、
生粋のドイツ人の質実剛健さを学び、
本当の家族として、迎えてもらった。

ヴュルツブルグ時代も、クリスマスのたびに、
「里帰り」のつもりで、ケルンを訪れた。
そこにはいつも、ご夫妻の笑顔と、
「Atsuko」と名札のついたプレゼントの包みが
待っていてくれた。


ヴンダーリヒさんと、数年来、全く連絡が取れなくなってしまった。
手紙を出しても、返事が来ないことが続き、
アメリカに行った年から、私はクリスマスカードも出さなくなっていた。

ところが、今日、実家の父から電話があり、
「ヴンダーリヒさんから、あなた宛に手紙が来たよ」
電話口で読んでもらった。
短い文章だったが、元気そうな様子は伝わってきた。
同時に、住み慣れたケルンを離れた寂しさも・・・

彼女に何があったのかは分からない。
けれど、もう何年も、音信不通だったのに、
私のことを思い出して、
手紙をくれたこと、本当に嬉しかった。


さて、そろそろドイツ語の辞書にお世話になりますか・・・
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by cembalonko | 2006-01-16 23:23 | 日々のいろいろ | Comments(2)

Commented by kiki at 2006-01-17 03:39 x
素敵なそして貴重な体験だね・・・。
私はそういうのないな。ちょっと残念。
きっとその当時は色々大変だったでしょうけどそういう経験が今のビケ♪さまを形成している要素のひとつになっているのですね・・・。
なんだか納得。
音信不通だったヴンダーリヒさんとまた会えますように!
Commented by ビケ♪ at 2006-01-17 17:31 x
メッセージ、ありがとうございました!
なんだか、行く先々で、
ドイツのお母さん、とか、ドイツのおばあちゃん、とかが
出来てしまうのですよねー。
精神的に自立してないのを見抜かれていたような・・・(笑)
でも、本当に、出会えたからこそ、
私の視野を広げてくれたし、豊かにしてくれた方々です。

ヨーロッパには、単に「お客さん」でいただけの私には
見えていない、いろんな大変さを、
kikiさんはきっと、たくさん、乗り越えて、
今があるのでしょうね。
うらやましいと思うけれど、私には真似できないなぁ。。。多分。
本当に、尊敬します。これからもがんばってくださいね!!!