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ダ・ヴィンチ音楽祭 トークイベントの記録

ダ・ヴィンチ音楽祭のメイン公演《オルフェオ物語》に行ってきました。
その前にトークイベントが行われ(登壇者 金澤正剛氏、矢澤孝樹氏、いのうえとーる氏)、
自分の覚え書きとして、書き留めておきたいと思います。

このトークイベントは「音楽家レオナルド・ダ・ヴィンチ」と銘打たれ、
音楽家としての彼を探ることで、当時の音楽実践のあり方に迫りました。

<リラ・ダ・ブラッチョ>
まず、オルフェオ物語で重要な役割を担い、レオナルドもその名手だったという楽器・リラ・ダ・ブラッチョについて、公演での演奏を担当する天野寿彦氏による実演と説明あり(駒がとても平たいため、内側の弦で旋律だけ演奏すると貧弱。だから和音とともに即興演奏した)。続いて、絵画には多く描かれているのに現存楽器がたった7台しかないというリラ・ダ・ブラッチョのスライド画像。私たちはオルフェオの「リラ」といえばいわゆる「竪琴」を思い浮かべるが、レオナルドの時代には、ヴァイオリンのように腕で支えて弓奏するリラ・ダ・ブラッチョであることが共通認識だったとか。
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<レオナルドの時代の音楽>
さて、レオナルドの時代の器楽は、ほぼ即興演奏であったという事実があり、リラ・ダ・ブラッチョのための曲もたった一曲しか残っていないとのこと(今回の《オルフェオ物語》にも挿入された)。作曲=演奏であり、演奏する人がするべき曲を把握していれば事足りたわけで、楽譜に書かれた音楽の方にこそ特殊事情があったという認識(例:聖歌隊員に歌わせるため/やんごとなき方の作った旋律を書き留め献呈するため、他)。15世紀にフィレンツェ大聖堂のオルガニストをつとめ名声を博したスクアルチャルーピの鍵盤曲も一曲も残っていないことも、そうした事情からとのこと。

<完璧主義者にとっての音楽とは>
「音楽は絵画の妹である」といわれた時代(形あるものの方が優位の時代)。
形に残る絵画は完璧をめざすあまり完成させられなかったレオナルドにとって、即興演奏によって瞬時に過ぎ去っていく音楽の中には、自身を解放できたのではないか、との考察があった。

<オペラへの道筋>
1494年にマントヴァで上演された《オルフェオ物語》(レオナルドがかかわったとされる)が、今回、楽譜のないところから同時代の音楽を使うことによって復元された(台本はフィレンツェの宮廷詩人ポリツィアーノ)。オペラの誕生はそれより100年ほど後だが、すでに予見的なものはあった(音楽劇)。レオナルドはフィレンツェ滞在中、祝祭の時に街を引き回された「山車」(その上で神話上の神に扮した楽師が歌ったり音楽を奏でたり)をデザインした経験が、マントヴァでの《オルフェオ物語》公演の舞台装置などのプロデュースに生きていると思われる。

<「ある音楽家の肖像」は誰?>
レオナルドの有名な「ある音楽家の肖像」が誰かについての解題もされた。音楽家が手に持っている楽譜を金澤氏が読み解き、その旋律のリズムの特徴がガッフリウスに似ているのでは、と指摘(確証はないとした上で)。比較曲例としてガッフリウスの《マニフィカト》を聴いた。ガッフリウスはレオナルドがミラノにいた時のミラノ大聖堂の楽長。
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<新しい古楽>
最後に矢澤氏により、オーセンティックな演奏が定着してきた現代において、100%オーセンティックであることは不可能(不可知)であることが分かったのだから、これからはオーセンティシティの呪縛を乗り越えて新しいものを創造していく時代に向かうのではないか、今回の《オルフェオ物語》の復元公演は、未来の音楽界に向けて、そういった意味での分岐点になりうるのではないか、との見解を述べられ、このトークイベントは締めくくられました。

以上、トークイベント ざっくりメモでした!


# by cembalonko | 2019-08-17 00:23 | 知的好奇心 | Comments(0)

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# by cembalonko | 2019-08-14 09:34 | 日々のいろいろ | Comments(0)

旅のつづき

すごい世界に行ってきた・・・

コレギウム・ムジカーレのコンサート。
プログラムはヴィヴァルディゼレンカの作品。

感動とは、人の心の中に起こることなので、
本当は誰とも共有できません。
だから私は、大事な演奏会に行くときには
「一人にしといて!」派だったりします。
コレギウム・ムジカーレの演奏は本当に素晴らしかったのです。
でも、それだけでなく、
その演奏を聴けた「タイミング」が
私の何かの「スイッチ」を押してしまいました。

実は『古楽でめぐるヨーロッパの古都』第2弾を書き始めており、
「旅のつづき」を隠れテーマにしています。
前著の最終章がヴェネツィアで、その最後のところで
ザクセン選帝侯がヴェネツィアの音楽家を
リクルートしていったことに触れました。
だから次著は、ザクセン選帝侯が住んでいた
ドレスデンから書き始めることにしました。

昨日のことです。
ドレスデンの市民の力で、ルター派の聖母教会が建てられ、
そのあと、
ポーランド王位をねらって自分一人だけ
カトリックに改宗してしまったザクセン選帝侯が
カトリックの宮廷教会を建設することについて書いていました。
筆は遅々として進まず。
自分がそこにいたら何を感じるだろうか、と必死に想像力を膨らませていました。

そこにきて、この演奏会です。
ザクセン選帝侯おかかえヴァイオリニストの
ピゼンデルが師事したヴィヴァルディと、
ドレスデン宮廷楽長になりそこなって
カトリックの宗教曲を沢山残すことになったゼレンカの作品が聴けるなんて!

プログラムの最後、ゼレンカのマニフィカトを聴いていた時、

ボン!

と、18世紀の宮廷教会にワープしてしまいました。
この体験は、本当に忘れがたい。誰とも共有できないけれど。
(私大丈夫か!?)

ヴァーチャルをリアルに変える「スイッチ」
それがアートなのではないでしょうか。
だれがどんなスイッチを持っているかは、
人それぞれ。だれにも分かりません。

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会場の日本ルーテル東京教会

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ドレスデンの宮廷教会(オペラハウスを改装)

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ドレスデン カトリック宮廷教会

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宮廷教会内部 ジルバーマンオルガン


# by cembalonko | 2019-07-25 01:45 | 日々のいろいろ | Comments(0)

幸せなこと

幸せだな~と感じるのは
この年齢になっても
新しいことに挑戦し、
成果を上げる華々しい
仲間の姿を見られること。

半世紀以上の人生になるけど
まだまだ未知のジャンルに飛びこむパワーも勇気も。
見習わなくては。
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終演後、応援仲間と一緒にケーキ♪ スイーツ愛は涸れることはない(笑)

# by cembalonko | 2019-07-20 21:10 | 日々のいろいろ | Comments(0)